強い男

昔から強い男に憧れがあった。幼少のころは男の子ならみんな大好きな戦隊ものに夢中で「~パンチ!」「キ~ック!!」なんてことをしょっちゅうやっていた(らしい)。小学4年生の頃にはどっぷりと「あしたのジョー」。クラスの仲間達と「うつべし、うつべし!」と適当なパンチでじゃれあっていた。

そして5年生。ある日、お風呂上がりにリビングでテレビを観ていた。その時放映されていたのが、たしか水曜ロードーショーでジャッキー・チェンの『酔拳』。始めは夜更かしがしたいためだけに何となく観ていたが、その不思議でアクロバティックな動き、そして強い! 一気に心を奪われた。衝撃の出合いだった。そして『酔拳』を引きずったまま中学生になると、消去法でバスケットボール部に入部。練習はハードで「やめたい」と思う毎日。でも練習が終わるとガラガラの体育館で仲間とドロップキックの練習をしたり。。まあ今思えばこの時に大分体力と精神力を養えた気がする。

高校生になると「強い男」の憧れが一気に加速。肉体を鍛えあげようと決心。ハンドボール部に所属しながら近所の空手道場に週3で通い始めた。学校の机の中には教科書のかわりに『空手バカ一代』が何冊も入っていた。自宅の庭には父親に頼んで「マキワラ」を作ってもらったり、寝る前にビール瓶でスネを叩いて鍛えたり。。

その後、2浪してなんとか大学に進学。それも束の間、2年で中退。この頃は色々と中途半端で、車を改造して夜な夜な峠や首都高に走りに行ったり、バンドも組んでスタジオに入り浸り。。。空手は続けてはいたものの「強い男」に対する執着が薄れていた。社会人になると始めてのことばかりで、毎日ヘトヘトで帰宅。続けていた空手も週一程度しか通えなくなっていた。毎日仕事の疲れを癒すために毎晩新橋の街で呑んだくれていた。

時が流れ、40歳。結婚して子どもも生まれ、会社から独立。自分のペースで生活ができるようになっていた。デザインの仕事はまあまあ楽しいし、酒は相変わらず呑んでる毎日。心残りは12年通っていた空手道場からすっかり遠ざかっていたこと。でも格闘技は大好きだったから観戦はずーっとしていた。そこに映っている格闘家たちが輝いてみえる。20年ぶりくらいに「憧れ」がふつふつと沸いてきた。でも若い時のように瞬発力のソレではない。ゆっくりと、でも強く、燃えてきた。

そして今から4年前。CHECKMAT TOKYOに入会したワケである。ここでは色々なテクニック、戦いかたを教えてくれる。
けれど一番に教わったことは「優しい心」。僕はそう感じている。若い頃は「強い男」の意味を履き違え、カラダばかり鍛えようとしていた。そして本当の意味での「強い男」になれるよう、この道場で毎日修行中。ここには本当の「強い男」が大勢いる。